上村松園展 東京国立近代美術館  ―上村松園という生き方―

画像竹橋の東京国立近代美術館で開催中の
「上村松園」展をのぞいてきました。
上村松園(1875-1949)過去最大級の回顧展です。 

松園の絵を他の展覧会で見てきたことと
宮尾登美子著の松園をモデルにした小説
「序の舞」と松園の自叙伝「青眉抄」を
読んだことがあったので、この展覧会を
とても楽しみにしていました。 

ハイ、すばらしかったです。お薦めです! 

東京会場の場合、前期・後期に分かれていて
出品作品が会期で少し異なることから
下の公式サイトで確認されてから足をお運びください。 

いちばんの代表作といわれる「序の舞」(ポスター左の画)は後期に展示されますよ。 もう一度行くつもり(笑)

画像 上村松園(本名 上村 津禰(つね)は
 明治八年(1875)は京都の葉茶屋に生まれました
 父は松園の誕生前に亡くなり母の手一つで育ちました。
 祖父は、天保の乱の起こした大塩平八郎の血筋

 小学校から絵が得意だった津禰は1888(明治21)年
 京都府画学校に入学。 画学校の教授だった鈴木松年に師事 
 のちに幸野楳嶺(こうのばいれい) 竹内棲風(たけうちせいふう)
 に師事  生涯三人の師がいました。

 明治の画壇は男社会 
 男尊女卑の極致の画壇で「女だてら」に絵を描き
 英国王室から作品の買い上げなど高評価される松園へ 
 ライバルの男性画家たちの意地悪は陰湿をきわめます 
 出展作品へ落書き・・・女というだけで中傷誹謗の嵐 
 晩年松園は、「戦場の軍人と同じ血みどろな戦いでした」 と
 
 一生懸命がんばっている女性をみんなでいじめまくる?!
 あ~あ、情けない!狭~い器量を証明するような卑怯な
 行為を恥ずかしいと思わなかったのでしょうか? 

 そうした中、未婚の母になります 相手は最初の師、鈴木松年
 だと・・力関係から見て逆らえなかったでしょう 師には家庭が・・
 
 「人生の花」 明治32年(1899) 23歳の作 名都美術館蔵
 
一生花嫁姿になることはなかった松園。 母に導かれ歩む花嫁のういういしい姿、松園の娘らしい花嫁への憧れと夢がこめられているようですね!

画像
                      舞い支度 (大正3 1914) 京都国立近代美術館蔵

画像
                         楊貴妃 (大正11 1922) 松柏美術館蔵 
実に美しいです。本物に出会えて感激!松園はささやかながら裸体表現をしています 乳房が優美でした!


画像松園は何点もの母と子の情愛をテーマに描いています
どの絵も本当にほのぼのします!「虹を見る」の母子もステキでした。 

右は「母子」 (昭和9 1934) 東京国立美術館蔵

「私を生んだ母は、私の芸術までも生んでくれたのである」(青眉抄)

松園の母、仲子は松園を守りぬきました。いっぽう弟子に手をつけた
先生の方は養育にも知らん顔でいい気なものです。明治時代
画家であり未婚の母であることはどんなに大変だったことでしょう 
世間の冷た~い目からすべてをガードし、松園を画業に専念させた母。

家の二階で絵に打ちこむ松園。母、仲は松園の生んだ子の養育、家事
いっさいを引き受け、立派に孫(母・松園と同じく文化勲章を受賞した
上村松篁画伯)を育て上げます。母子の絵はみな、
「母への追慕から描いた」 と語る松園。


画像 「近松式でもなく、歌麿式でもなく・・」と松園は独自の美人画の世界を
 追求しました。 それは「真・善・美」を体現する絵。
 松園左の絵、同じ画題で描かれた一部の浮世絵に見られる
 「ただれ」や退廃的なムードがありません 気品にあふれかつ色っぽいのです!

 「風」 (昭和14 1939) 北野美術館蔵 

 また松園は古典や歴史に題材ととった絵を多く描いています 
 源頼朝、政子の前で堂々と夫義経を恋う舞を舞ったという
 「静御前」 歴史に登場する女性のなかで好きなタイプです
 この絵、感動しましたよ! 左下 「静」(昭和19 1944) 東京国立近代美術館蔵 

画像










松園は40歳を過ぎて年下の青年に
恋をしたと言われています ステキですね!
強いられた関係ではなく、みずから好きになる! 

そしてその恋の経験は冒頭のポスター右の「焔」
に名残をとどめていると・・「焔」は「源氏物語」の
光源氏の正妻、葵上に源氏の恋人、六条御息所の
生き霊がとりつき苦しむ話です めらめら燃える「嫉妬心」

画像
                  「焔」 ( 大正7 1918) 部分 東京国立近代美術館蔵

画像
                「鴛鴦髷 おしどりまげ」 (昭和10 1935) うなじが本当に美しい!



画像 「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い

 珠玉のような絵こそ 私の念願とするところのものである。

 その絵を見ていると邪念のおこらない、またよこしまな心を

 持っている人でもその絵に感化されて邪念が清められる・・・・・

 といった絵こそ 私の願うところのものである」 「青眉抄」より引用 
 
 左 「序の舞」 部分 (昭和11 1936) 東京芸術大学蔵

 昭和23年(1948)、松園は女性として最初の文化勲章を授与
 されました。「あまりに遅すぎる顕彰」と報じられました。戦前は 
 「女だから」という差別の壁が立ちはだかっていたんでしょうね。

 翌24年、息子松篁の奈良の画室で逝去。74歳。生涯現役でした。


どの絵であっても、絵を見れば、上の松園の言葉どおりであることに気づきます。名品がめじろおしのこれだけの規模の展示は中々ないでしょう。多くの男性の方も鑑賞されていました。女性を見るとすぐ「邪念」をもってしまう方々もいらっしゃるかもしれません(笑) ぜひご覧くださいませね、心が清らかになりますわよ(笑) 


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参考

上村松園展 公式サイト へ ←クリック

東京会場 東京国立近代美術館

会期:前期:9月7日(火)~9月26日(日)  後期:9月28日(火)~10月17日(日)

京都会場 京都国立近代美術館

会期 2010年11月2日(火)〜12月12日(日) 

上村松園自身が語った画業50年は このサイトで見ることができます 太字クリック

松園自身が語った「青眉抄」単行本も出ています。


宮尾登美子の代表作「序の舞」 

私は母の本を借りて読みました。上村松園をモデルにしています。念入りな取材と研究の上で書かれているので読み応えがあり、じつに面白いです。 

序の舞 (中公文庫)
中央公論社
宮尾 登美子

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わかりやすく説明されています。 イメージも豊富。

もっと知りたい上村松園―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
東京美術
加藤 類子

ユーザレビュー:
上村松園が描く女性の ...

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 「序の舞」は映画化されDVDになっています。この映画、実在のモデルとその家族がいるのに、それに配慮をせずに、デタラメなフィクションの部分が気になります。 またエロに力点を置いて描いています。息子さんの上村松篁はコレを見てひどく傷ついたと。 現代になっても、古い意識の男性監督はこんな切り口と描き方しか、できないの?と残念に思います。 松篁さんが「映画を見て寂しくなった」と語られたのがよくわかります。


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