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help リーダーに追加 RSS 明恵上人の「不思議」な現象と 「あるべきようは」 明恵上人 3

<<   作成日時 : 2008/05/01 08:42   >>

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画像 鎌倉初期の名僧、明恵上人。 その生涯には、聖者とか高僧につきものの奇跡とも呼べる超常現象がたくさん起こります。 数多くある奇跡の一つに、奈良春日大社の鹿がいっせいにお辞儀したという、楽しくユーモラスな事件があります。

 1203年(建仁3年)三十歳のころ、明恵上人は春日大社に参詣するため、東大寺の中御門までくると、約30頭の鹿に出会いました。鹿はいっせいにひざを折り、地に伏して出迎えたと伝えられています。 そして空には香ぐわしい異香がたちこめたとか。

↑奈良春日大社(世界遺産)  奈良市観光協会HPより

 昔から春日大社へお参りする途中、鹿に出会うのは吉とされていました。乗り物から降りて、鹿を拝んだ貴族も多かったそうです。春日の鹿は神のお使いの神鹿です。野山をうろついているその辺の鹿とは違う尊い鹿らしいです。

                   
                       春日権現験記絵巻 巻十八 神鹿
画像


 上の絵ではたしかに鹿さんたち地に伏していますね。昨年の秋、奈良公園に行ったおり、鹿たちに出会いました。鎌倉時代に春日大社の鹿がどれくらいの頭数いたか知りませんが、今はかなりの数います。観光客に鹿せんぺいをねだって寄ってきます。 

 東大寺ふきんは観光客も多いせいか、わんさかいます。バンビもいますね。おとなの鹿は背も高く、立派な体格。
そばに寄られると少しびびります。 もちろん私にはお辞儀などしてくれません。 せんべい持ってないかなあ?という目をして寄ってくるだけです。


画像 奈良国立博物館近くの焼いも屋さん。 二頭の鹿がおばさんにストーカーしていました。お芋をもらおうと「オン、オン」鳴いてせがみます。

 この鹿、もしかしたら、明恵上人にお辞儀をした鹿の子孫かもしれませんね。

 ご先祖さまはとても礼儀正しかったのに、写真の鹿たちは、なんと焼き芋屋のおばさんのお尻をつついて、お芋の催促をしていました。
                 

 鹿のお辞儀以外にも、明恵さんには、一般人には不思議としか思えないできごとが数えきれないほどあったようです。 上人が修行中、「桶(おけ)の中に虫が入っている。とり出して放ちなさい」と言われたので、弟子が遠くにある桶を見に行くと、ハチが溺れており、急いでとり出して放しました。 

 またある夜更け、炉ばたでまどろんでいたところ、急に起き上がって「あら大変だ。見つけるのが遅れると、食いつかれてしまうぞ。火を燃して、急ぎ行きて追い払いなさい」と叫ばれたので、一緒にいた坊さんが驚いて、上人の言われた真っ暗な軒を点検すると、小さなスズメの子を大蛇が呑みこもうしているところだったとか。

 今でいう遠隔透視でしょうか、こうしたエピソードが明恵さんにはたくさんあります。


 神鹿 鎌倉時代  重文 高山寺
画像 きっと澄みきった精神で万物と交感されていたのでしょうね。テレパシーや透視能力―いわゆるシッディ(神通力)を身につけておられたようです。それにしても大の動物好きだった明恵上人、小さな生き物にいたるまで慈しんでおられます。

 明恵さんの生涯には、奇瑞(きずい)、瑞夢、異香、透視、祈願による病気治癒などが満ちています。 そういう方が師であれば、弟子や周囲の人たちは当然さわぎ立てます。 当時の人々は明恵上人を「権者(ごんじゃ=仏、菩薩の仮現者)と呼んでいたそうです。

 しかし、明恵上人本人は非常にそのことを迷惑がられ、けっして公表してはならぬと、きびしく戒(いさ)められたそうです。

 そして記録した不思議現象の数々の書き付けの多くを、上人みずからが破棄されました。ただ破棄を免れたものや上人の死後に弟子たちが残そうと書き付けたものは、今に伝えられています。

 明恵さんは人々が「権者」などと噂するのを聞いて、はらはらと涙を流し、
 
 「ああ、そんなことは、拙(つたな)の者の言うことだ。 戒律を守り、修行をしているうちに自然にそうなったまでで、そうなりたいなどまったく思わなかった もし私のように仏の教えに身を投じて一心に行につとめれば、誰もが私のように自然となれるものを」 
そして「是はいみじきことにあらず=こんなことは大事なことではない/つまらないことだ」と言い放たれています。

 
画像 明恵上人坐像

 私は明恵さんの↑そういうところが好きなのです。 

 明恵さんの超常現象について、「信じられない」という現代人も多いでしょうが、上人のような仏の道(上人の場合は)に打ちこみ、清純な暮らしをしていれば、透視などの奇跡的なできごとはごく自然に起こったであろうと、私は考えています。 一般の方でも、元々第六感や霊感が強い方、異次元のものが見える方だっていらっしゃいますもの。

 この件について、ユング臨床心理学者の河合隼雄氏はその著「明恵 夢を生きる」のなかで、

「これらは古い時代のことなので、迷信に満ちた時代の人たちの言として、信頼をおくに値しない、と棄て去ってしまうこともできるであろう。 しかし・・・明恵の『合理性』は、現代人でも及ばないような高さをもっている・・・・従って、われわれは明恵の伝記の類や『夢記』に記されていることを、昔の信じ難い『お話』としてよりは、まず事実として受けとめて論じるのが妥当である」

 そしてつづけて、
「明恵の体験した多くの不思議な現象を説明するためには、ユングの提唱した共時性( synchronicity )の考えによるのが最も適切であると思われる」と述べています。
 
 スピリチュアル・ブームの世の中、いわゆる超能力に憧れる人って多いですね。 各種の超能力系の講座やコースをよく見聞きします。なかには大変高額な受講料をとるところもあります。

 かつて空中浮揚などの超能力開発をウリの一つにして、信者を集めていた教団による大きな事件がありました。教祖は今も収監中ですが・・・・ 超能力に憧れ、それがきっかけとなって教団に入ったという有名大学出身のお医者さんもいました。 

 でもそういうのは、本末転倒じゃあないかしら?と思うのですが・・・・超能力 ウンヌンより先に、すくなくとも人としての、このお医者さんの場合は、特に医者としての「あるべきようは」をしっかり考えていれば、殺人に手を貸すこともなかったんじゃあないでしょうか? 本当に残念です。 

 超能力的なものについて、「是はいみじきことにあらず」という明恵上人の見解に私は大賛成なのです。

 「人はあるべきやうわの七文字を持つべきなり。此のあるべき様を背(そむ)くゆえに、一切の悪しきなり」
 (明恵上人集 岩波文庫)

 明恵さんが言う「あるべきようは」が好きなのは、それが他者からの押しつけではなく、自分自身で考えて答えを見出すものだからです。他人から「あなたはこうあるべき」なんて言われると、大きなお世話だとムカつきますよね。

 人それぞれ置かれている環境や立場は異なります。自分の置かれた立場や役割を踏まえ、「あるべきようは」を自身に問いかける。それはけっして「あるがまま」を全面的に肯定するものではないでしょう。 

 自分のとる行動について、さまざまな選択肢がある中で、自分自身でその「あるべき姿」をさぐり、みずからの意志で「あるべき道」を、主体的に選びとって関与していく。 その中で「為(な)すべきことを為す、為すべきでないことを為さずにあれ」と示唆しているのではないでしょうか。

 その場合、人はどんな道を選んでも、たとえそれがハードであっても、「覚悟」をもって臨むことができ、どんなに地味であっても、満足できるのではないでしょうか。 

 それは同時に、みずからが選ぶ自由な道であり、どんな道であれ、みずから創造するクリエイティヴな道だと思うのです・・・・

 ああ、明恵さん、「あるべきようは」ステキです! 上の写真は明恵さんの坐像の頭部です。ハンサムで有名だった明恵上人。 たしかに鼻筋がとおってますね、頭の毛を生やせば、いえ無くてもなかなかの美形! 

 ↑「いみじきことにあらず」と明恵上人に叱られそうなことを、嬉しそうに書き連ねる「拙(つた)な者」でございます・・・

 最後まで読んでくださいましてありがとうございました。 
                                                                  

 なお「あるべきようは」の解釈は私の個人的観点から書いています。
 
 『阿留辺幾夜宇和=あるべきやうわ』 について原文と現代語訳が知りたい方は
 ■『阿留辺幾夜宇和』 (法楽寺■を参考にしてください。
  

  つづきの記事へ■明恵 渡天(インド行き)の中止 明恵上人 4■へ




関連記事■京都高山寺を訪ねて 明恵上人 2■へ

明恵 夢記 大孔雀王の夢、塔に昇る夢■へ


 明恵上人を初めから読む ■京都神護寺を訪ねて 月の歌人 明恵上人 1■へ   

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
参考に

 ■春日権現験記絵巻■へ

 ■奈良 春日大社 HP■へ


                    
明恵上人について多角的に考察。読みやすいです。
恋い明恵
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コメント(7件)

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サファイアさんこんばんわ!
明恵上人
今日も素敵過ぎますね。
私は思うのですよ♪
フォースというものは清い心でないと
上手に使いこなせないのではないかと。
修行というものは
やはりそういうものひっくるめて修行というのだと思うのです。

そして
たとえばSFXの世界、宇宙人や超能力等の映画
こういう人間の頭で想像できるものというのは
現実に存在するし、実現できるそうだということを何かの雑誌で読んだことがありました。
モニカ
2008/05/11 21:00
こんばんは。モニカさんのおっしゃるとおり、「清い心」が基本としてないと、何事も最終的にはうまくいきませんよね。フォース(Star Wars的表現では)の件、あの映画、神話的かつ象徴的にわかりやすく表現していましたね。

たしかに、映画で描かれているSF的な要素のうち、実現できるものがたくさんあると私も思っています。ジュール・ヴェルヌが良い例ですね。ヴェルヌが小説で描いた世界の中のもの、今現実にほとんどありますものね。

フォースももうすぐ、もっと具体的に科学的な解明がなされるかもしれませんね。そうなればほんとに楽しみです。コメントありがとうございます。
サファイア
2008/05/11 21:50
サファイアさんこんにちは♪

ミステリーな世界と科学の世界は繋がっているのではないかな?
と私は思うのですよ〜♪

ほんとに
これから先が楽しみですね〜♪
モニカ
2008/05/12 16:13
こんにちは。
明恵さんについて何かを読んでいると、清い気持ちになれます。
もっともっと知りたくなります。
サファイアさんの記事の続き、楽しみです。

norako
2008/05/14 14:53
norakoさん、ありがとうございます。お忙しそうですね。もう1〜2個続きをしつこく書くつもりです(笑)明恵さんの他の側面を。明恵ファンですから、みんなに言いふらしたいんです(笑)それからnorakoさんお薦めの本、昨日とどきましたよ。少しずつ読んでいこうと思っています。
サファイア
2008/05/14 17:40
私もGW中に、前回の記事で紹介していた紀野一義さんの「明恵上人」を読みましたよ。それから「恋い明恵」も注文しました。
私が明恵さんに興味を持ったのは、河合隼雄さんの「明恵 夢を生きる」がきっかけでした。その頃はインターネットなんてないから、関連本を探すのも大変。今はこうして明恵ファン仲間もできて、本も簡単に入手できて、ハッピー。
記事の続き、楽しみにしてますよー。
norako
2008/05/16 22:15
norakoさんご注文までいただいてありがとうございます。明恵ファンクラブってところかしら?norakoさんの観点からもぜひ明恵さんの記事書いてくださいな。英語ではなく日本語で。生きていらしたら、ファンクラブなんてとんでもない、「拙者(つたなもの)のすることよ」嘆かれたかもね。コメントありがとうございます。
サファイア
2008/05/16 22:59

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