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zoom RSS 蝉を食べた時代 「誕生!中国文明」展 東京国立博物館 蝉しぐれの季節に

<<   作成日時 : 2010/08/02 20:23   >>

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蝉しぐれの季節です。家のまわりでも鳴いています。 先日実家に帰ったおり、庭には蝉の抜け殻がごろごろ落ちていました。 母は蝉が「湧く」と言います。庭の木に良くない影響があるといって好みません。 どうなんでしょう?私、そのあたりよくわかりませんが・・日の出からグワングワンと大音響で鳴きはじめ、それで目が覚めます。その蝉しぐれは風流を通り超し、過激です。

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画像時おりカラスなどの鳥がセミをくわえているのを見かけます。
オモチャにしているわけではなさそうです。食べるんでしょうね。
そして、人間さまもセミをおおいに食べた時代があったことを、
現在開催中の東京国立博物館の「誕生!中国文明」展で知りました。 

前漢(BC206〜AD8)の時代の「炉」の模型が出展されていて
なんとその炉には、五匹ずつ大型のセミを串刺しした串が
2列ならんでいました。見た感じはセミのバーベキュー。
ウヒャ〜〜!「セミを食べたんだ!」 
他にもっと重要な展示がたくさんあったのですが
セミをあぶっているバーベキューの炉はとても印象的でした。 
写真撮影不可だったので、残念ですが・・・
                                    上の画像 翡翠のセミ 口含 漢時代 大英博物館蔵


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さて、冒頭の写真の翡翠(ひすい)製のセミ、きれいでしょ? 中国は翡翠の工芸品が見事で、さまざまなものが販売されていますね。その中に、よく翡翠の小さなセミを見かけます。 いつも「きれいだなぁ!一つ欲しいなぁ!」とながめていたのですが、今回、その正体がわかりました。 上の画像とほぼ同じような翡翠のちっちゃなセミが展示されていました。 写真不可だったので、大英博物館よりほぼ同じものを探し出しました。 それにしても大英博物館、何でももっていますね!

展示されていた翡翠のセミは、下の金縷玉衣(きんるぎょくい)と一緒に出土しました。↓ すごいものでしょ?


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          金縷玉衣(きんるぎょくい) 長180cm 幅125cm 前漢時代・前1世紀 河南博物院蔵


私、これを見たとき、映画で見たフランケンシュタインが包帯をぐるぐる巻きにしている姿に似ている、とヘンなことを考えました。いえいえ、そうしたグロいものではありません。 

「玉衣とは美しい石を札状に加工して綴(つづ)った服」 「漢時代の王侯貴族は亡くなると全身を玉衣でおおい、不老不死になることを望みました。当時の人々は玉が死体を腐敗から守ると信じていたためです。この玉衣も漢時代の河南省東部にあった梁(りょう)国の王墓から出土しました」 ←博物館説明 

翡翠のセミは、遺体の舌の上に置かれたもの(mouth piece)。 これと一緒に、耳栓などの体の孔(あな)をつめる小さな翡翠の品が数点展示されていました。

セミは地中で何年も過ごし、地上に出て生を謳歌し、また死んで地に戻ることから、再生と復活のシンボルとして古代中国ではとても大切にされました。今でもラッキーなシンボルです。 そして当時はセミをふつうに食べていたこともあって、舌の上に置かれたのでしょうね。


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                     地図 Wikipedia より

画像「誕生!中国文明」展は、中国の河南省で出土した数々の名品に焦点をあて
中国文明の誕生と発展のあとをふり返る特別展。 
河南博物院の協力で実現したもの。

河南省はそのほとんどの地域が黄河の南に位置しているので
河南と言われ、約8000年前から文化が芽生え
中国文明発祥の地と言われます。

中国最初の王朝といわれる、伝説の「夏」の中心地は
河南省にあったと考えられています。

その後、商(殷 いん)、後漢、魏(ぎ 三国時代)・
北魏の洛陽(らくよう)など、歴代の王朝が河南省に都をおきました。

                   七層楼閣 後漢・2世紀 焦作市博物館蔵  
                   日本は弥生時代ですが、中国の洛陽には
                   7階建ての高層建築があったんですね!


画像幻の王朝 「夏」(紀元前2000〜BC1600年頃)の
遺品でないかと考えられる出土品もありました。
青銅製の板にトルコ石の小片をはめ込んだもの →

詳しくは公式サイト「誕生!中国文明」をご覧ください。 
太字クリック とても楽しいサイトです。

動物紋飾板(どうぶつもんかざりいた)(一部) →
夏時代 紀元前17〜16世紀 1984年出土 洛陽博物館

セミに話を戻すと、「セミを食用にすることは中国のもっとも古い習慣」←「中国のセミ考」に載っていました。孔子の時代(紀元前551〜479)には、セミは一般的な食材だったようですね。 

三国志の時代(180年頃 - 280年頃)なんかも、セミのバーベキューがあったようです。 
映画「レッドクリフ」パート1・パート2を見ましたが、セミは食べていなかった思います。 もう少しおいしそうなものが円卓には載っていた記憶が・・・中国では、セミを食べる習慣は6世紀頃には、一部の地域をのぞき途絶えてしまいました。

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三国志の主人公のひとり、曹操の墓が見つかったのは、今回の展示品が出土している河南省です。 曹操さん、時代的に見ても、地域的に見ても、きっとセミを食べたことがあったでしょう!

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ちなみに古代ギリシャ人もセミを食べました。哲学者アリストテレスは大のセミ好きだったんですって!オリーブオイルでいためたのでしょうか? 縄文や弥生時代、日本でもおそらく食べていたんでしょうね。 

現代の日本で、果敢にアブラゼミの成虫を召し上がっている方がいますよ。 驚きのセミ料理 HPがありました。←クリック 

また中国山東省ではセミの幼虫がレストランのメニューに ←太字クリック。 すごいですね! 以前信州でイナゴの甘辛煮をおそるおそる食べた私。 セミはねぇ〜〜 パスいたしましょう。

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そんなこんなで、蝉しぐれの上野の森で、ひと時古代にひたりました。 ここへ行く前に科学博物館の大哺乳類展を娘といっしょに見ました。中々良かったです。 太字クリックで公式サイトへ。

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おまけ

<空蝉の和歌>

セミの抜け殻のことを空蝉(うつせみ)と言いますね。 「うつせみ」という言葉のひびきは、「抜け殻」よりずっと詩的です。 源氏にもその帖がありますが・・・ 「空蝉」を詠った多くの和歌のなかで、私は下の皇女和宮の歌がとても好きです。 せつないですね。

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     空蝉の  唐織りごろも  なにかせむ  綾も錦も  君ありてこそ

天皇家に生まれ、第14代将軍徳川家茂に降嫁した皇女和宮。 それは、文久2年(1862年)に公武合体策としての結婚にすぎませんでした。 けれど政略結婚であるにもかかわらず、和宮はじょじょに家茂と心を通わせるようになります。 家茂はたびたびプレゼントを贈ったりして、妻にとても細やかな心配りをしたそうですよ(ハイ、夫たる者、それが大切です)。 家茂は元々動物好きで、家臣に慕われた優しい人だったみたいですね。聡明だったと伝えられます。 夫婦仲はとてもよかったとか。

そんな折、慶応2年(1866年)、家茂は第2次長州征伐の途上、大坂城で病に倒れます。 上洛するさいに、家茂は、和宮に「土産は何がよいか」と尋ねました。 和宮はふるさと・京都の西陣織を所望します。

ところが家茂は21歳(満20歳)の若さで帰らぬ人となり、和宮の元には西陣織だけが届けられました。
和宮は西陣織を見て、涙をこぼし、詠んだ歌です。 和宮も20歳でした。

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家茂が土産に持ち帰るはずだった西陣織 きれいですね。和宮は、増上寺にこの西陣織を奉納し袈裟に仕立てて法要に用いたそうです。



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コメント(14件)

内 容 ニックネーム/日時
学生時代、中国では机以外の四つ足で食べないものはないと教わりました。食に対して貪欲な人々なのでしょう。イナゴは私も子どもの頃食したことがありますが、今はもう食べられません。
それにしても、この蒸し暑さの中、よく行かれましたね。偉い!
私は、美術館、博物館に誘ってくれる友人達に、今年の夏はパスと言ってあります(へへ)。
マン・レイ展と世田谷美術館には行きたいです。「セラフィーヌの庭」という映画を見る予定ですが、世田谷美術館でそのセラフィーヌの絵が展示されるので。8月後半が少しでも過ごしやすくなりますように。
norako
2010/08/02 20:48
norakoさん、こんばんは
余りの暑さで博物館空いていました!すかすか!中は涼しいので快適でしたよ。うちは夏はいつも科博とセットだから。「セラフィーヌの庭」面白そう! norakoさん、いらした展覧会の幾つか記事にしてくださいね。おねだり!新美術館はルーシー・リーを割と最近見に行ってピンクの鉢が可愛かったです。
今読みましたよ、九州の旅!お天気に恵まれてよかったですね。吉野ヶ里遺跡にいらして羨ましい!あそこすごく行きたいところです。
それから私、書き忘れたんだけど、HornblowerのDVD、英語字幕がついてないからどんなものか、と。BSかCS,またはケーブルでよくやっているので再放送あるかもしれません。コメントありがとうございます。この展覧会、見事でしたよ。もしお時間があればぜひ!
☆サファイア
2010/08/02 23:58
盛夏の候、蝉時雨の季節・・・と、くるはずが、今夏、こちらでは蝉の声があまりしないのです。どうしてなんでしょう?
冒頭の蝉の抜け殻、絵になっていますね。きょうだいで登ってきて、脱皮。一緒に大空へ飛び立った、などと想像を楽しんおります。
  空蝉を掌上におけば風おこる   松本 旭
  被爆の壁赤し蝉がら吹きすがる  多田 裕計
minoc
2010/08/04 00:00
minoさん、おはようございます本当に暑いですね。私の家近くの公園や学校の敷地では蝉が鳴いていて、聞こえますが、去年より確かに少ないような気がします。minoさんのお住まいのあたりでは今年は少ないのですね。関西の実家のあるあたりはそれはうるさく鳴いておりました。教えていただいた空蝉の句、ステキですね。「風起こる」いいですね!ありがとうございます。どちらも知らない句で、覚えておきますね。これからずっと猛暑らしいので、くれぐれもご自愛くださいませ。 コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/08/04 07:26
アブラゼミは、胸に大きな筋肉がついていて美味だとか。日本でのセミの伝統的調理法は、砂糖しょうゆ漬け、酢漬け、油炒めで中国のようにフライ料理はなかったようです(油を使う習慣がなかったので当たり前か?)。木にたいする害は、果実・樹皮から樹液を吸うことと幼虫時代に根から樹液を吸うこと……大量発生すればですが。ところで、「和宮様御留」はどうなったんでしょうね。少なくとも「神々の指紋」や「明智光秀=天海説」などより、はるかに説得力がありそうなんですが……セミの鳴き方が少ないとのことですが、セミは、明るさで鳴き始め、鳴き終わりを決め、その間は、気温で鳴く時間帯が左右される傾向にあるようです。一日中鳴きっぱなしなのは、ニイニイゼミくらいで、あとは、早朝から午前中、日暮れ時が多いかと……今年、少なく感じるのは、気温が高すぎるため、昼間の鳴き終わりが早くなっているせいかもしれませんね。
紫雲
URL
2010/08/04 10:29
紫雲さん、こんばんは
セミの伝統的調理法ってあったんですね!セミを食べる地方があるのは知っていましたが・・セミのチリソース和えがあのHPに載っていましたが、私はエビのほうがいい(笑)「根から樹液を吸う」そういう意味で母は嫌がっているのかも。なんかそうしたことを言っておりました。情報をたくさんありがとうございます。 
江戸へ下向されたのは本物の和宮様だと私は思っています。替え玉ではなく。
有吉佐和子さんのあの小説、私、好きでないこともありますが、維新前後に和宮様が徳川家のためになさった様々な気概ある行動を考えれば、本物でしかできないことばかりじゃないでしょうか? けれど謎めいたところは多いですよね。小説や映画、TVドラマはいい加減なフィクションが多いから、映画や小説の中の物語がひとり歩きしてしまう危険性があるようにも思います。
猛暑です。ご自愛くださいね。コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/08/04 22:07
蝉のお話しにはビックリしました
家も朝から蝉の鳴き声が、そして日が沈むまで、かなり凄いです。
うるさいような気がしますが、一生懸命に鳴いている蝉の声を私はちゃんときいてあげます(畑仕事をしながら
結構楽しいです何か話しをしているみたいで。
蝉を食べた時代に生まれなくて良かった...とつくづく思います。
イナゴの佃煮も美味しいと聞きますが、私は苦手です
味は甘辛くて絶対に美味しいと思います!
色々な虫がいますが、それを食べてしまう人間が怖いです
るんるん
2010/08/07 20:27
るんるんさん、こんばんは
蝉の歌をちゃんと聴いてあげていらっしゃるんですね!ステキですね!私はヒグラシの鳴き声は好きなのですが、アブラゼミとかの大合唱は・・・実家のほうでは、耳をつんざくばかりに朝から鳴いておりました。蝉を食べたのはそれだけ食料が今ほど豊富ではなかったのかもしれませんね。古代では、どんな食事だったんだろう?と思います。昔牢獄に入れられた人が、ゴキブリを食べて飢えをしのいだ、という話を読んだことがあります。それなら蝉のバーベキューのほうがいいような気が・・・イナゴの佃煮はおいしいと思います。ただ目玉などがこっちを向いているとなんとなく・・・ コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/08/07 21:17
サファイアさん、こんにちは。お久しぶりです!
今年の夏はセミが鳴かなくて変だな・・と思っていたら、法事で静岡へ行ったら、あちらではミーンミーン・ジージー大音響で鳴いていました。一昨日こちらに帰ってきたら、こちらでも大合唱が始まっていました。桜前線ならぬ、セミ前線みたいなものがあるのかしら?セミってエビみたいな味がするのかな?
でも、中身はあんなにプリプリした身ではなく、サクサクしているのかなウルトラマンにでてきたバルタン星人みたい。今日から10日間夏休みです。久しぶりにゆっくりとブログの記事を書きたいと思っています。
MOKO
2010/08/10 08:02
MOKOさん、お久しぶりです。
帰省中でお返事遅くなりました。MOKOさん、スゴ〜〜イ、セミ前線ってぜったいあると思います!そうした視点に出会ったのは初めてです。バルタン星人って昆虫食べていました? 私、すぐ忘れるから。 MOKOさんの新しい記事、とても楽しみです。2個書いてね!おねだり兼プレッシャー! モチロン、冗談ですよ。でもせっかくのお休みですからゆっくり休んで楽しくお過ごしくださいね。 コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/08/11 09:26
空蝉というと源氏物語の空蝉の胸をはだけて囲碁を打っている絵が浮かびますね。
皇女和宮の和歌もいいですね。
しかし蝉を食べるとは・・・・
kazu
URL
2010/08/11 19:44
kazuさん、こんばんは
和宮さんの和歌、本当にステキですよね!二十歳でね・・・痛ましいです。
衣だけが残されてそれを源氏が持ち帰るんだけど、その後も、源氏は空蝉を覗きに行ってますよね。しょっちゅう色々な女性を覗いているでしょ? だから源氏を読むと、「いつも覗いてばかり」って。こういう読み方ダメなことはわかっているのですが・・(笑) コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/08/11 22:10
読んでて どの話も、楽しかったです♪
しかも、この手の話とか歴史は、大好きなので。
とっても、勉強に、なりました。

蝉を、食べるというのは、信じられない気持ち。
私も、イナゴ食べれないんですよ。
でも、小さい頃は、いやいや食べさせられましたよ。
リボン
2010/08/16 03:20
リボンさん、こんばんは
楽しんでいただけて嬉しいです。歴史、お好きなんですね!一緒です(笑)
古い時代がどうだったか興味があるので。 蝉なんですが、お宅の猫ちゃん、食べますか? じつは実家の庭で野良猫(たぶん)数匹がやってきますが、よく木の蝉をねらっているんですよ。頭がもげたものがころがっていたりして。うちのみいも野良猫時代、食べていたようです。コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/08/16 18:33

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