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zoom RSS 海北友松の雲龍図 緑の苔輝く、京都・建仁寺を訪ねて

<<   作成日時 : 2010/07/23 21:47   >>

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立派な髯をなびかせ、大きな眼で左を睨む龍。威風堂々とした姿にもかかわらず、なんとなくユーモラス!安土桃山時代〜江戸初期の画家、海北友松(かいほう ゆうしょう、1533 -1615)作の襖絵、雲龍図が京都の建仁寺で公開されています。 水墨画の濃淡の中で、龍はすっきりと端整です。

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実はこれ、キャノンがデジタル複製した雲龍図。本物の雲龍図は元々襖絵として制作されました。 しかし、現在は全て軸装され京都国立博物館に重要文化財として保管されています。上はレプリカ襖絵の一部です。その全体像←はクリックすると見ることができます。

デジタルの複製画だとありがたみがない? そう思われる方もいらっしゃるでしょうが、キャノンの技術の粋をつくしたすばらしい雲龍図でした! 展覧会ではなく、建仁寺本坊の中で元のかたちである襖絵として見ることができて嬉しかったです。 残りの四幅も現在キャノンが制作中とのこと。 キャノン、がんばれ!

画像 さて、今博物館に眠っている残りの四幅に
 描かれている龍がどんなか知りたくありませんか? 
 海北友松は「雲龍図」として、「阿吽: あうん」なる2匹の龍を
 描きました。

 現在建仁寺にある襖絵の龍は「吽: うん」龍。 口を閉じています。
 一方、←「阿」龍は口を開けています。

 ←左がキャノン制作中の「阿:あ」龍(一部) 
 「あうんの呼吸」とよく言いますね。語源由来辞書によると
 「阿吽:あうんとは 吐く息と吸う息をあらわす言葉
 また、二人以上が一つの事をするときの微妙なタイミングや気持ちの一致を
 表わす言葉」 梵語:サンスクリットの「a-hum」の音写 なんですって!

 「阿」龍のほうが怖そう。 というか、やんちゃな感じがします。
 


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                          後ろの建物は法堂(はっとう)

一方、建仁寺が誇るもう一つの阿吽龍を描いた双龍図は、創建800年の記念の年である平成14年(2002年)に法堂の天井に小泉淳作画伯が描きました。法堂は明和2年(1765年)に上棟。 双龍図は現代に描かれただけあってモダンな感じがします。 口を開けた龍と口を閉じた龍が天井から見下ろしていましたよ。

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                   建仁寺 法堂の天井 双龍図 小泉淳作画

皆さん、建仁寺の海北友松と小泉淳作による阿吽龍たち、どちらの龍さんもさほど怖くなく、なにやら快活な雰囲気をただよわせている、と思いませんか? 龍の絵にはおどろおどろしいのもあります。 私、建仁寺の龍さんたち、好きですよ。

なお、小泉画伯は鎌倉の建長寺の天井にも雲龍図を描いています。また今年7月、東大寺本坊にそれはすてきなハスが咲き乱れる襖絵40面を奉納されています。クリックすると画像へ 

                                            
去年、祇園祭が終ったあと京都に行ったおり、建仁寺にやっとこさ着いたときは、時間が遅く、と言っても4時過ぎだったのに、すでに閉門していました。 私、あうん龍たちを見たかったのに・・・ たまたま今回、京都在住の友人たちと南座のあたりでランチをしました。 そのあとに、訪ねました。 エ〜イ、今度こそぜったい見なくては!と決心かたく拝観いたしました。 

建仁寺は花見小路をぬけたところにあります。 超便利な立地。 梅雨が明け、水分をたっぷり吸って育った緑の苔がそれは美しい建仁寺の禅の庭。 苔はこの時期最高にきれいです。

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                                    方丈の庭 潮音庭 ↑↓

建仁寺の開基(創立者)は、鎌倉幕府二代将軍、源頼家、開山は栄西禅師。日本臨済宗の開祖である栄西は、以前書いた記事中の鎌倉の寿福寺を1200年に開山し、その二年後の建仁2年(1202)、この建仁寺を開山します。お寺の名前は当時の年号から。 

明恵上人のところで書きましたが、宋から茶を持ち帰った栄西禅師は、日本における茶の祖でもあります。 また、豊臣秀吉を祀る高台寺や、「八坂の塔」のある法観寺は建仁寺の末寺だそうです。 

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建仁寺には多くの一級の文化財があり、公開されています。 写真がボケています。すみません。

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                       俵屋宗達 「風神雷神図屏風」 (デジタル複製)

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                        本物(国宝) Wikipedia より

江戸時代を代表する画家俵屋宗達の、晩年の最高傑作とか。二曲一双。金箔を押し、右双に風神、左双に雷神

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                       金澤翔子書 「風神雷神」

本物(国宝)はやはり京都の博物館に委託されています。私、どうやら俵屋宗達の本物に縁がなさそう。以前大琳派展(東京)で本物が展示されていましたが、会期の差で見ることはできませんでした。私が行った会期に出ていたのは、尾形光琳と鈴木其一の「風神雷神」でした。あ〜あ!

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                           書院 橋本関雪 「松韻」 一部

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                          橋本関雪 「生々流転」 一部

建仁寺には大正から昭和にかけて活躍した画家、橋本関雪(1883〜1945)の襖絵の名作がたくさんありました。他に「伯楽」など

画像そして建仁寺といえば、石庭です。 
方丈の周囲には禅の庭、大雄苑。
夏の陽射しの中
白く輝く砂と島宇宙をなす苔と岩。 

祇園祭りのあとでしたので
人は少なくゆっくりできました。 
素足に気持ちのいい古びた天然杢の
広縁にすわればゆったりした時間につつまれます。



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                           方丈の庭 大雄苑

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画像 そして
 ←○△□乃庭。 とても瀟洒です。
 
 ○と□はわかると思いますが、△の切り込み
 は写っておりません(写真が下手)

 なお、建仁寺には明恵上人の直筆の書(重文)
 があります。見たかったのですが、公開
 されていませんでした。

 都会のど真ん中にある建仁寺。けれどひとたび
 広い境内に入れば、喧騒を忘れます。
 緑濃き木立に、翡翠色にかがやく苔。
 清浄感あふれる真白き石庭。

 ほんのひととき、暑い暑い京都で
 涼をえました。


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                       法堂より三門を望む 遠方に見えるのが三門

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参考

「雲龍図」の海北友松(かいほう ゆうしょう 1533 -1615)について

海北家は元々近江・浅井家の家臣。 浅井家が織田信長に滅ぼされたとき(1573)、主君に殉じました。 友松はこの戦の折、たまたま京都の東福寺にいたので、生き残りました。 友松は死ぬまで、海北家の再興を望んでいたそうです。

友松が活躍した桃山時代、画壇の中心は狩野永徳を頂点とする狩野派。友松は永徳に絵を学びました(狩野元信が師という説も)。永徳の死後、友松は独自の画風をつくりだしていきます。 妙心寺にも友松の作品があります。 ちなみに、同時代には、狩野派と画壇の覇権を競った長谷川等伯率いる、長谷川派がいました。 華麗な桃山画壇ですね!

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         重要文化財 花卉図屏風(右隻) 海北友松筆 安土桃山〜江戸時代 妙心寺蔵 
 

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コメント(18件)

内 容 ニックネーム/日時
旅した気分♪

京都に行かれていたのですね。
Kay
2010/07/23 22:34
kayさん、こんばんは
これ、ちょこっとお寺へ寄ってきただけなんです(笑)南座から近いし。去年、ドジして龍さんたちを見ることができなかったから。建仁寺は秋に石庭で観月会がいいそうですよ! コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/07/23 23:37
さすが京都と言う感じです。
京都には行きたいお寺がたくさんあります。
勉強になりました。ありがとうございます。
momiji
2010/07/24 09:50
momijiさん、おはようございます
おっしゃるように、京都・奈良の寺社は格が違いますよね。私、石庭とその簡素が大好きで・・・境内には多くの建築があるのですが、ほんの一部をそれも簡単な説明だけで申し訳ないです。コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/07/24 11:07
俵屋宗達の「国宝・風神雷神」、空間の大胆な取り方に魅せられます。デジタル複製では、雷神の肌がリアルですが、これは私の錯覚でしょうか。とにかくよく出来ていると思いました。
金澤翔子さんの書「風神雷神」に眼を見張りました。女性でしかもダウン症の方とは思えない大胆かつ雄渾な筆勢!!
今回もためになる京の旅をさせてもらいました。有難うございました。
minoc
2010/07/25 00:46
ある英語ブログから来たHappy22です。建仁寺の苔を見て苔寺に行こうと考えています。苔を見るには秋より夏の方がいいのでしょうか。猛暑なのでどうしようかと....
Happy22
2010/07/25 09:28
建仁寺いいですね。私も大好きなお寺です。
以前ぶらりと寄った時に風神雷神の屏風が置いてあってびっくりしたのですが、よくみると複製と書いてあってホッとした記憶があります。
そういえば等伯の風鈴図屏風の複製もキャノンだったかも。
京都ではいろんなものに会えますよね、暑いけど!
kazu
URL
2010/07/25 22:16
龍は、中央アジアからペルシアあたりが起源で東に行ったものが聖なる龍になり、西へいったものが邪悪なドラゴンになったといわれたりもするようですけど、どうなんでしょうね? 「日本ほど、龍がその姿を時代とともに変化させながら行き続けた国はない」(龍の歴史大事典)そうですが……龍の文献もあまりなく、絵もさほど目にするわけではなく、ほんとにそうなのかしら、と……つれづれなるままに感想などを(苦笑)
紫雲
2010/07/26 09:49
minoさん、こんばんは
学校行事で臨海キャンプの手伝いにかり出され、返信が遅くなり申し訳ございません。建仁寺にあるレプリカはシミ一つないきれいなものです。多分俵屋宗達が完成した当時のものを再現したのではないでしょうか。みんなでレプリカをありがた〜〜く拝見するのでございます(笑) 陶板の別のレプリカもありました。金澤翔子さんの書は味があり実に見事です。コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/07/26 19:35
Happy22さん、はじめまして
そうですね、悩ましいですね。苔は梅雨明けから夏の期間がいちばん綺麗だと思いますが、京都はとても暑いです!秋でも、冬近くでなければ、けっこう綺麗なのではないでしょうか。冬と早春は茶褐色のところもあるようですよ。いい旅を!コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/07/26 19:40
kazuさん、こんばんは
建仁寺は、奈良のお寺ほど広くはないにしても、広々していて、ステキですよね。私、子供ぽいのかもしれませんが、大きなお寺が好きなんです。ホテルや旅館もそうですが広々しているのが好きで・・等伯をはじめ重要な文化財をどんどん複製しているのは、やはり世界のキャノンなのでしょうか? コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/07/26 19:55
紫雲さん、こんばんは
「龍は永遠の謎」だとか。龍orドラゴンはおっしゃるように、中東のシュメール神話にも出てきますね。中国の場合、新石器時代(紅山文化他)に龍的な形が現れていますね。どちらが古いかはよくわかりませんが・・最近注目を集めているのは、龍・ドラゴンと古代のシャーマニズムとの関係です。どの古代文明もシャーマニズムにたっぷり染まっていましたから。各地のシャーマンたちが、その変性意識の中で同じように龍的なものに遭遇した可能性が・・(現代人も時には夢の中で大蛇とかモンスターに遭遇しますが)文明間の伝播や影響もあったでしょうね。古代世界を支配したシャーマニズムとの関係は興味深いですね。よく言われるのは「龍がわかれば人がどこから来たかわかる」。だから私は謎だらけの龍が好きなんですよ(笑) コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/07/26 21:41
サファイアさん おはようございます 初めまして
100年の孤独の記事を見かけましてコメントです
小説の名前でしたか? この焼酎は2,3度飲みましたけど美味しいですね

京都へ来られてたのですね 建仁寺の近くは良く通るんですが中には入ったことないです
祇園さんや八坂さんには良く行きますけど(笑)

お墓が相国寺にあるので年に何度かは京都へ行くのですが
天井の龍の絵は良いですよね
「妙心寺」「相国寺」「天竜寺」の龍は見てますが・・建仁寺は見たことないので 今度行った時は見るようにしますね

長谷川等伯さんの絵は好きですね〜
テス(nosaman)
2010/07/28 08:44
テスさん、はじめまして
百年の孤独、本当においしいです。ただお値段が・・うちでは最初で最後のような気が(笑)小説の英訳は"One Hundred Years of Solitude"です。私は邦訳を読みました。
建仁寺の天井の双龍はにぎやかで明るい感じがしましたよ。妙心寺のド迫力の龍とは大違いです。小学校の頃両親に連れられ相国寺に行き、天井の龍を見たはずなのですがよく覚えていません。機会があればもう一度じっくり見てみたいです。小さい頃に文化財を見ても上の空でダメですね。長谷川等伯さんの絵、特に水墨画には魅了されました。透明感がいいですね! コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/07/28 20:23
私の住んでいる群馬からは遠いのでなかなか出掛けられませんが、京都は大好きです。
新婚旅行は京都でした
建仁寺は、すみません...知りませんでした。
全体像をクリックしてみてきました。
「うん」の龍だけでしたが迫力がありました。
実際見ると凄いんでしょうね!
「あ・うん」の龍、書かれたかはどんな気持ちで描かれたのでしょうか?
「あ・うん」この二対の龍は夫婦、男女なんでしょうか?
すみません変な事を書いて...龍をじっと見ていてそう思いました。
クリックで蓮のふすま絵を見てきました。
見事ですね
来年の春に見る事が出来るんですね、見に行かれますか?
庭も素敵ですね!
縁側でゆっくり過ごしてみたいです
家には猫やウサギがいて、なかなか家をあける事は出来ないのですが、将来夫婦二人で時間をかけて京都を歩いてみたいです。
るんるん
2010/07/29 23:10
るんるんさん、こんばんは
日曜まで一週間ほど夏休みで今日出かけようとしたら大雨でした。そちらは豪雨、大丈夫ですか?
阿吽龍ですが、阿吽は陰陽でもあるようです。口を開けている「阿」は陽、口と閉じている「吽」は陰。「陰極きわまって陽転する」って言いますね。山門で見かける二人の仁王様も「あうん」をなしています。対の狛犬も。あえていえば、陰である吽龍が女性でしょうか。また書かなかったのですが阿吽で宇宙の始まりと終わりを表わすようですよ。きっと一つの宇宙が終れば(吽)ビッグバンで新たな宇宙が始まるのかな(阿)?
奈良に行きたいのですが・・いかんせん、お互い遠いですね。京都に新婚旅行されたんですね! ぜひまた機会があればいらしてくださいませ!猫チャンだけだとお留守番できますが、うさぎさんは難しいのでしょうか。私は関西にいつも用事が山積みなので(遊んでいる訳ではありません)今回友人との約束もあり、ちょこっと帰り道に立ち寄っただけなんですよ。コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/07/29 23:43
建仁寺。
何年か前に初めて訪れました。
そしてびっくり。
祇園や河原町通りに近いのに、いきなりひっそりと清々した空間が現れたのですから。
そして地図を見直して、これが建仁寺と知って、さらにびっくり。
そうか。風神雷神で有名な建仁寺って、ここにあったのかと。
もちろん、風神雷神はレプリカしかありませんでしたが。
こんなところで寺を任された、栄西禅師の栄華も感じ、歴史に思いを馳せました。
でもサファイアさんのように、細かく見てこなかったので、残念です。
法堂の龍は見てきたのですが。
また機会を見つけて、行くことにします。
前記事で、ルミナスさんのことと共に、猫の舟と宇宙を旅していく話、とても素敵でした。まさに「時空を超えて」ですね。


norako
2010/07/31 14:10
norakoさん、ありがとうございます
暑いですね!くれぐれもご自愛ください。建仁寺はあんなににぎやかな所にあるのに一歩入れば別世界。所蔵の文化財やお庭も超一級でびっくりしますね!明恵上人の書状が公開されていれば写真撮って、norakoさんにも見てもらおうと思っていたのですが・・norakoさんちの猫ちゃんの方がうちより早く旅立ちましたね。お気持ちよくわかります。出窓の奥に毛玉を残しているのですが、まだ掃除をする気になれなくて・・いつもなら「汚い!」ってすぐに。けれどここで寝てたなって。 コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/08/01 20:14

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