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zoom RSS 先史時代のヴィーナス像たち 土偶展 なぜ口は描かれてないの?

<<   作成日時 : 2010/02/15 18:32   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 19 / トラックバック 0 / コメント 10

「縄文ヴィーナス」と呼ばれる国宝の土偶。 短い足に豊かな腹部、そして丸く張ったヒップ。小さいながらも堂々と立つ姿は大地の母そのもの。それはまさに、赤ちゃんが生まれるばかりの臨月の女性のよう。

博物館の説明によれば、「ふくよかな女性の身体を柔らかい曲線となめらかな器面で表現したその姿は、まさに多産や豊穣を祈る人形(ひとがた)とされる土偶の美を代表するものといえる」 今から5000〜6000年前のもの。 日本は縄文時代でした。 

画像昨年12月から2010年2月21日(日)まで、東京国立博物館で開催されている土偶展。 暮れに見に行きました。土偶は地味なのかな?と考えていましたが、いえいえ、その生命力に富んだスゴさ! これと同じ展覧会が、東京の前に、イギリスの大英博物館で”The Power of Dogu"展として開催されていました。 イギリスでの評判を読むと、「圧倒された」との感想が多く、その好評ぶりを、日本人としてやはり嬉しく思いました。豊かな大地のエネルギーが渦巻く、原始のパワーみなぎる土偶さんたちでした。 

国宝 縄文のビーナス

長野県棚畑遺跡出土
縄文時代中期(前3000〜前2000)
長野・茅野市教育委員会蔵

皆さん、右の縄文ヴィーナス、どう思われますか?
この体型でヴィーナスなら、と安心された方も(笑)

じつは主にヨーロッパを中心とする世界各国から出土した先史時代の女性像は、よく○○ヴィーナスと名づけられています。それは、ヴィナースの小立像と呼ばれるものです。先史時代のヴィーナス像を見れば、どの女性の方も自分の体型にさらに自信がもてるのではないでしょうか。

まずはドイツ南部、ホーレ・フェルス(Hohle Fels)洞窟で発見されたヴィーナス像。3万5千年前の彫刻です。

画像

             ホーレ・フェルスのヴィーナス像 Wikipedia画像 クリックすると説明へ

ウヒャ〜って感じ!ええ、これ↑ヴィーナスなの? ドナウ川沿岸のウルム(アインシュタイン生誕地)の西側のシェルクリンゲンの洞窟で発見されました。たった6cm。 これぞ35.000年前に作られた人類最古の彫刻なんですって!小さな穴があるから、ペンダント・トップだったのかもしれないと言われています。 このヴィーナス像発見のニュースは、昨年の春、国際ニュースのトップを飾りましたね。

画像

                  ヴィレンドルフ(Willendorf)のヴィーナス像 画像Wikipedia

ヴィレンドルフのヴィーナスは2万4000年〜2万2000年前頃につくられたと考えられています。

これはオーストリアで発見された像。 ホーレ・フェルスもヴィレンドルフ、両方とも旧石器時代です。ホーレ・フェルスは頭部がなく、ヴィレンドルフ には顔らしきものが描かれていません。

こうした女性像はヨーロッパで多数見つかっています。 それらの像が地母神として「母」なる要素を表わしているのか、それとも「女」の部分を強調しているかについては議論があるようですね。

さて、つぎはヴィーナスらしくなりますよ。  

画像

         フランス南部で発見された、2万5000年前のBrassempouyのヴィーナス画像Wikipedia

このフランス西部より出土したマンモスの象牙に彫られた有名なヴィーナス像 ↑には、顔らしきものは描かれていますが、口がありません。 時代は氷河期にあたります。なぜ口がないのでしょう? 口って目立つ顔の器官なのに...... 

画像じつは、土偶展にも口がない土偶が出展されていました。 これ →

重要文化財 ハート形土偶

縄文時代後期(前2000〜前1000)
群馬県東吾妻町郷原出土 個人蔵

ハート形の仮面らしきものをつけています。口がな〜〜い!

仮面土偶はほかにもステキなのが出土しています。描きわすれなの?→
それとも「口なし」にはほかに意味があるの?

興味深いことは、先史時代の彫刻や絵画には
口がないものが多数存在する点です。下をご覧ください。

画像



 オーストラリアの紀元前3000年頃(今から5000年前)に描かれた
 オーストラリア先住民、アボリジニーの洞窟壁画。 
 「口がない神 mouthless god」 と呼ばれているものです。 
 これを宇宙人だと嬉しそうに言っている人たちもいますよ。 
 

口が描かれていない理由について、ドイツのゲズナー(Jean Gebser)先生は、その著作の中で、太古の人々のあいだで行われていた魔術 or 呪術的系譜の表われだ と述べています。 

つまり、 口が象徴するもの: 音に出して語る、という行動は、「聴く」:超自然のもの or 大自然の霊的なものの声を聴く行動より後の時代に現れる。「口なし」とは、人が物語るようになる以前を表わしているというのです....口がない間は、人が物語(神話)を口で話すという段階に至っていないのだと。 そして人が神話ともいえる物語をもつようになるにつれ、人の意識構造に変容があった、と説明されているのですが....... 面白いですね。

上のハート形の仮面土偶の仮面。 縄文時代は仮面をつけての呪術的祭祀が行われていたようですね。 縄文遺跡より、仮面が出土していることから考えると......

現代人とは異なる意識構造をもっていたらしい太古の人たち。 その頃は、「個」としての意識ではなく、属する共同体の意識の中で生きていた? はるか昔の人たちは、今のように饒舌にしゃべってはいなかったことでしょう。 旧石器時代の初期などは、じつに簡単な言語だけだったかもしれませんね。そしてそれよりもっと前は「ウ〜〜ウ〜〜〜」とか「ア〜」、「アチィ〜」と唸っていただけかも。 ヴィーナスたちも唸っていたのかな?   

ポール・マッカートニー - Venus and Mars / Spirits of ancient Egypt ポールの「ヴィーナス&マース」をもしよければお聞きになってください。映像がいいですよ。歌詞が出ます。  




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おまけ


土偶は弥生時代の埴輪とは用途が異なります。 土偶が何なのか?についての説明は博物館のサイトに載っていますので、ご参照ください。 また展覧会詳細も東京国立博物館の公式サイトをご覧ください。
写真は大英博物館の写真をお借りしています。

土偶展の主な出品

画像
画像

国宝 合掌土偶                                 国宝 中空土偶                       
縄文時代後期(前2000〜前1000)                      縄文時代後期(前2000〜前1000)
青森県八戸市風張1遺跡出土                         北海道函館市著保内野遺跡出土
青森・八戸市蔵                                  北海道・函館市教育委員会蔵                   
                          仮面土偶
画像

                                                                

こうした太古の人たちを描いた小説に、「大地の子エイラ 始原への旅立ち」があります。 私のかつての大のお気に入り。

氷河期を生きるクロマニョン人の女の子エイラの物語です。地震で家族を失い一人さまよっているところをネアンデルタール人のグループに引き取られ、育てられます。  全巻読みましたが、とても面白い。 最近このシリーズは児童書として新装版が出ました。タイトルが少し変っていますが、小学高学年・中高生向き。

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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
国宝土偶展、ご覧になったのですね。
土偶、面白いです。原始の生命力・エネルギーを感じます。
良くぞ、残っていてくれたと思います。
ヴィレンドルフのヴィーナス、こう言う人、南洋とかにいそうですね。笑
前の、リーフィーシードラゴンや、東福寺の記事も心惹かれました、素敵です!
 シードラゴンは、あの海草みたいな姿とゆったり動く姿が和みますね。
いづな薫
URL
2010/02/16 22:47
薫さん、ありがとうございます。
土偶展、じつに素晴らしかったです。なんというか、土偶さんたちのほうからエネルギーが放射されている感じがして。ヴィレンドルフのヴィーナス、南洋だけでなく、日本の温泉にもいらっしゃるような....(怒られそう、ごめんなさい)
リーフィーは、私にとって思い出深いドラゴンで、自分の未熟さと不注意さを思い出させる存在で、いつも自戒のシンボルとして大切に思っています。
コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/02/16 23:59
「話す」行為は「聴く」行為の後の時代に表われる。「話す」ことによって、人間の意識構造は超自然的、霊的なものから現実的なものになる、みたいな考え方は、じつに説得力があって、面白と思いました。
おまけの土偶を見ていると、岡本太郎画伯の大阪万博のシンボルマークをつい思い出してしまいます。
minoc
2010/02/17 01:35
サファイアさん、おはようございます。今日の記事、とても惹きつけられます。特に縄文ヴィーナスの体型が。はい、安心しました!
そういえば、以前、norakoさんのブログでウルヴィーノのヴィーナスの絵が紹介されていた時も、ポッチャリとしたお腹や身体を見てちょっと安心したことともありました。(笑)赤ちゃんが言語を習得する時、最初はお母さんたちの話し声を聞きながら、しだいにクウ〜・・アウ〜なんていうcooingやマンマやバブバブなどのbubblingの時期を経て、言葉を言えるようになるということを思い出しました。オーストラリアのアボリジニの壁画、私には宇宙人としか見えません〜。(嬉しそうでしょ?)♪Venus and Mars ♪楽しませていただきました。ありがとうございます。サファイアさんにとって、今日も良い一日になりますように・・・
MOKO
2010/02/17 07:04
minoさん、こんばんは。
現代人である私たちが日頃普通であると考える「話す」という行動、どうやら進化(?)の過程で上手になっていったようですね。旧石器時代などは限られた言葉しかなかったようです。おっしゃるように、「話す」それも物語、神話などのまとまった体系を話す過程で意識は変化していったのでしょうね。ゲズナーは意識の段階を五段階に分けて説明しています。「口なし」は二段階目。ここで面白いのは、新たな意識構造へ移るのが、必ずしも時系列にそって起こらない点です。思うに、私たちもまた今の意識構造から、新たな意識構造へと、進んでいくのかもしれません。 とてもこのあたり、興味深いです。 コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/02/17 19:49
MOKOさん、こんばんは。
本当に、こうした太古のヴィーナス像を見ると「お菓子を食べよう!」と勇気が湧きますね!一方、ウルビーノのヴィーナスは、お腹ぽっちゃりとはいえ、美しすぎて美容に励まなくては、とプレッシャーがかかります(笑)
ご指摘のとおりですね。赤ちゃん時代の「あ〜う〜」から始まる言葉の発達は、まるで人類の言葉の発達を見ているようですね!!
実はゲズナー先生を読むまで、私もあれをエイリアンの「グレイ」だと思っていましたよ!モコさん、気づかれました? あの絵の「グレイ」に似た人物の頭部の背景にオーラが描かれているでしょ?仏教の仏像そしてキリスト教のキリストや聖人には光背(こうはい)つまり後光が必ず描かれていますでしょ? オーラとも言えるけど。ヨーロッパなどの先史時代の人物にも描かれている場合があり、面白いなぁ!と思っています。聴力もそうですが、視力もまた、太古と今では能力的に異なっているのかもしれませんね。コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/02/17 20:09
こんばんわ
「口がない・・」興味深く読ませていただきました。
人間にきわめて独自の特性である象徴化(シンボリズム)
の能力に基づいて、人間の経験の一部、環境の一部、
自分自身の一部を分離して永続的な形で抽象し再表現した
のでしょうか。先史のヴィーナスが時空を越えて運ぶ文化
に耳を傾けたいと考えます。

幼児が這ったり歩いたりする前にアババなどと喋り、聞き分
けられる音声語を用い始めることは、今日でも無意味でない
ように思われます。話すことは実用的伝達の道具となる前は
おそらく母と子の情緒的交わりの源ではなかったかと。
huuraibou
URL
2010/02/18 02:45
huuraibouさん、こんばんは。
考えれば面白いですね。猫や犬や猿はしないけど、人は象徴化する能力があり、それに基づいて言語を話しますね。こうした原始時代のその前は、深い眠りのような無意識ともいえる意識の中で、空や川とも人は一体化していたんでしょうね(エデンの園のように)。ところがある日、象徴化する能力を用いて、<一部を分離して>をし、こうした像を作ったり、絵を洞窟に描いたのでしょう! 溢れんばかりに豊満な太古のヴィーナスを見ると、当時の人たちは何を想像し、象徴化しようとしたのかな?と興味はつきないです。
コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/02/18 19:19
とても楽しく読ませて頂きました。

私も以前エイラ読みました♪
面白かったです。
Kay
2010/02/18 22:05
Kayさん、こんばんは。

「エイラ」読まれたんですね! 私は氷河期の冷涼な平原をずっと歩いていくエイラに惹かれました。 壮大な物語ですね。 コメントありがとうございます。
☆サファイア
2010/02/19 19:29

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