東京ミッドタウンのサントリー美術館で開催されている「japan 蒔絵 ―宮殿を飾る 東洋の燦めき―」展を見てきました。 「蒔絵展」では、国内にある国宝、重文を含む名品 + フランスのヴェルサイユ宮殿美術館などが所蔵するマリー・アントワネットのコレクションをはじめ、イギリスやスウェーデンなど、ヨーロッパ各地に残された貴重な蒔絵、約240件の華麗な優品が一堂に展示されています。 漆黒の地に咲く黄金にきらめく可憐な秋の花。 その静かな華やかさにハッと息を呑みます。 ←秋草 蒔絵 徳利 京都国立博物館蔵 桃山時代〜江戸時代 重文 菊枝桐紋蒔絵提子(きくえだきりもんまきえひさげ) 京都高台寺蔵 桃山〜江戸時代→ 蒔絵は、漆(ウルシ)の樹液と金銀の粉をもちいて文様を表現する工芸技法 ←美術館の説明パネルより 本展では、空海が唐より持ち帰った経典をおさめるために、醍醐天皇がつくらせた10世紀の経箱(国宝)を出品の一番目におき、展示は始まります←国宝 宝相華迦陵頻伽蒔絵そく冊子箱 仁和寺蔵 桃山時代( 16C )になると、新興の武士たちによって日用品や建築物にも蒔絵が用いられるようになり、またちょうどその頃、日本にはじめてやって来た西洋人たちは蒔絵に魅了されます。 当時、日用の膳椀類にも、蒔絵が使われるよう工夫したのが「高台寺蒔絵」です ←冒頭の2点。 六曲一双の大きな大きな南蛮屏風には、来航した南蛮船と宣教師たちが街をゆく姿が描かれていました。 じつは私、↓この南蛮屏風を見たかったのですが、展示期間が1月7日からということで、他の南蛮屏風でした(残念)。 1/7〜1/12に展示の 重文 南蛮屏風 伝 狩野山楽筆 桃山時代( 17世紀初頭 ) サントリー美術館蔵 日本を訪れたスペインやポルトガルの宣教師たちは蒔絵の美しさに魅せられ、漆職人たちに祭礼具や家具を注文しました。 西洋人たちは蒔絵の装飾に螺鈿(らでん)を加え、より豪華な漆器を作らせました。 IHS花入籠目文蒔絵螺鈿書見台 桃山時代 京都国立博物館蔵花鳥蒔絵螺鈿聖龕(三位一体像) 桃山時代 京都国立博物館蔵 「わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である。人がわたしにつながっており、わたしもその人につながっていれば、その人は豊かに実を結ぶ」 新約聖書 ヨハネによる福音書15章 この三位一体像をおさめる聖龕(せいがん)のとびらの蒔絵螺鈿の図柄を見てください。 ブドウの木が描かれています。ブドウの実もたわわになっています。 宣教師の人たちは、こうした聖書のモチーフを、漆職人に特別注文したんでしょう。 仏教の厨子(ずし)によく似た形のカトリックの聖龕。 仏像ではなく、キリスト教の三位一体が描かれ、当時の日本の工芸技術の粋をきわめた蒔絵螺鈿によって表現された<ぶどうの木>。 とても興味深く思いました。 「南蛮人」と呼ばれた西洋人(商人も多く含まれる)は、大航海時代、 蒔絵の工芸品を本国へ持ち帰ったり、他国へ輸出したりしました。 現代では、日本の誇る輸出品といえば、車や精密機械などが思い浮かびます。 一方、 16世紀半ば以降の桃山時代から江戸時代にかけて、こうした「南蛮漆器(なんばんしっき)」と呼ばれる工芸品が輸出の主力商品だったとか。 後に、江戸幕府の政策により、西洋世界との直接貿易がオランダ人に独占されるようになると、輸出漆器にも変化があらわれます。 漆黒の地より黄金の文様がきわ立つようになります。 この新しい様式は「紅毛漆器(こうもうしっき)」とも呼ばれるそうです。 西欧の王侯貴族たちは、きらびやかな蒔絵の工芸品を熱心にもとめました。 とても高価だったそうですよ。 楼閣山水蒔絵コモド 蒔絵:江戸時代 17世紀後半 ヴィクトリア・アルバート美術館蔵 17〜18世紀に西洋の宮殿や城館を飾るようになった日本の蒔絵。 フランス王妃、マリー・アントワネットは、ヨーロッパ随一の蒔絵コレクションをもっていました。![]() 蒔絵瓜形香合 江戸時代 17世紀末〜18世紀半ば ヴェルサイユ宮殿美術館蔵 蒔絵鶏形小重箱 江戸時代 17世紀末〜18世紀半ば ヴェルサイユ宮殿美術館蔵 フランス宮廷にあった華麗な蒔絵の小物。 かわいい香箪笥、小箱、香合、それから沈箱がたくさん展示されていました。 ぜいたく三昧だったマリー・アントワネットがいかにも好みそうな美品ばかり。 フランス国王ルイ15世の寵姫、ポンパドゥール夫人が所有していた蒔絵もありましたよ。 「蒔絵展」はとても楽しい展覧会です。 蒔絵という美しい精緻な工芸を接点として、日本の中世、桃山時代、江戸時代、そして幕藩体制の崩壊といった歴史の流れが、西洋の大航海時代、フランスをはじめとする絶対王政時代、そして19世紀の万国博覧会の世紀と交差します。 それにしても中世、近世の日本の蒔絵の技術、ホンとにすごい! 時をこえ、すばらしい蒔絵が残っているからには、すぐれた美的センスと卓越した技(わざ)の漆職人や蒔絵師たちがいたはずです。 しかし、製作者たちの名前はほとんど知られていません。 きっと忘れ去られ、その人たちの痕跡は、美しい蒔絵のみがとどめるだけなのでしょう。 蒔絵の伝統を絶えることなく受け継いで、さらに発展させてほしいなぁ、と思いました。 梅蒔絵結文形香合 江戸時代 17世紀末〜18世紀初頭 ヴィクトリア&アルバート美術館蔵 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 新年となりました。 本年もよろしくお願いいたします。 サントリー美術館関連の記事 ■ガラスの芸術家、エミール・ガレ展■へ 前の展覧会の記事 ■スリランカ展■へ 次の記事へ■ソーシャル・ビジネス 利益を追わぬ投資 グラミン銀行の挑戦■へ 次の展覧会へ■加山又造展 国立新美術館 ■へ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参考 「japan 蒔絵 ―宮殿を飾る 東洋の燦めき―」展 ■展覧会公式サイト■へ 会場 サントリー美術館 ■サントリー美術館公式サイト■へ 東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガーデンサイド ガレリア3階 会期: 2008年12月23日(火・祝)〜2009年1月26日(月) ※会期中、展示替えを行います ※各作品の展示期間については、美術館にお問い合わせください 開館時間: 〔日・月・祝日〕10:00〜18:00 〔水〜土〕10:00〜20:00 ※12月31日(水)は、年末のため18時で閉館いたします。 ※12月23日(火・祝)と1月11日(日)は20時まで開館 ※いずれも最終入館は閉館30分前まで 休館日: 1月1日および毎週火曜日(ただし12月23日(火・祝)は開館) 入館料: 当日 一般1,300円、大・高校生1,000円、中学生以下無料 (前売券 一般1,100円、大・高校生800円) ■蒔絵とは■へ |
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| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
あけましておめでとうございます。 |
サザンエース 2009/01/02 23:05 |
サザンエースさん、新年おめでとうございます。温かい励ましのお言葉、ありがとうございます。本年もよろしくお願いいたします。 |
サファイア 2009/01/03 14:05 |
サファイアさん |
ピュア URL 2009/01/03 15:10 |
ピュアさん、あけましておめでとうございます。 |
サファイア 2009/01/03 19:46 |
サファイアさん、あけましておめでとうございます。 |
MOKO 2009/01/06 09:06 |
モコさん、新年おめでとうございます。 |
サファイア 2009/01/06 13:21 |
あけましておめでとうございます♪ |
モニカ 2009/01/07 20:07 |
モニカさん、あけましておめでとうございます。転居、大変だったでしょ? 学校の手続きもあるし・・・でも新しい土地って楽しみがありますね。きっと言葉も含め珍しくて色々びっくりなさっているんじゃないかな、って想像しています。 お疲れが出ませんように。 |
サファイア 2009/01/07 21:43 |
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。 |
norako 2009/01/08 22:08 |
norakoさん、新年おめでとうございます。 本年もよろしくお願いいたします。 |
サファイア 2009/01/09 07:31 |
新年おめでとうございます |
なぎさの民俗学者 2009/01/09 08:36 |
なぎささん、おはようございます。 |
サファイア 2009/01/09 09:09 |
あけましておめでとうございます。元旦に素敵な記事を記載されていたのですね。新年にふさわしい豪華な蒔絵の数々ですね。特に花鳥蒔絵三位一体像<ぶどうの木>が印象に残りました。自分が葡萄の木が好きだからかしら? |
織音 2009/01/09 14:26 |
織音さん、あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いいたします。 |
サファイア 2009/01/09 15:07 |
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